REPORT アーストラベルの旅

修学旅行サポート / 新潟市立内野中学校

教育旅行

2022年12月8日に、新潟市立内野中学校2年生がつくばを訪れてくれました。
この日は、3日間の修学旅行の2日目。1日目は新潟県内と川越、3日目は那須に行くという行程の中に、茨城県つくば市を選んで入れてくださったことは嬉しい限りです。

こちらの記事では、つくば市での体験を中心となって計画された学年ご担当の先生の想いと、実際の見学の様子を合わせてお届けいたします。

目次

  1. 2学年の総合的な学習の時間担当・栗原弘幸先生につくば市での体験にかける想いをインタビュー
  2. 弊社代表・尾崎によるランチタイム講話
  3. ゲノム編集でおいしく健康になれるハイギャバトマトを開発!サナテックシード講話
  4. つくばの魅力と、地域の資源を活かしたまちづくり|つくばまちなかデザイン講話
  5. 茨城県内での探究型教育旅行なら、アーストラベル水戸がお手伝いします

2学年の総合的な学習の時間担当・栗原弘幸先生につくば市での体験にかける想いをインタビュー

総合的な学習の一環でもあるという今回のご旅行。
このような行程を組んだのは、どのような想いからであったのか。
生徒の皆さんには、どのようなことを学んでほしいと感じたのか。
2学年の担任で総合的な学習ご担当である栗原弘幸先生に、お話を伺いました。

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弊社代表・尾崎(左)と、内野中学校・栗原弘幸先生(右)

――栗原先生、今回は茨城に来てくださってありがとうございます。始めに、学校のご紹介をいただけますか。

栗原先生:新潟市立内野中学校は、新潟市西区にあります。近くには新潟大学のある、歴史があり、アカデミックでもある地域です。最近はニュータウンができて、生徒数が増えています。学年は8クラス。新潟市でも人数の多い学校です。
地域コーディネーターの方がいて、地元の書道家の方が授業に来てくださるなど、地域とのつながりの深い地域でもあったのですが、コロナ禍で地域の方と関わる機会もへっています。修学旅行も一昨年は実施できず、昨年は新潟県内の十日町へ日帰りと、宿泊での旅行がなかなかできない状況でした。

――そんな中で、今回茨城に来てくださったのはどのような経緯だったのでしょうか。

栗原先生:生徒たちに何とか宿泊学習をさせてあげたいとなったとき、候補にあがった場所の一つが茨城でした。コロナの影響で、まだ東京や大阪といった大都市を訪れるのは厳しいだろうと考えました。
今回の旅行は、総合的な学習の時間につながる学びにもなればと計画しました。2年生では自身の将来のキャリアについて考え、3年生では地域の将来について考えます。せっかくの修学旅行を探究学習ともつなげられればと、ここ数年は実施が難しかった、いろいろな方の話を聞いて学ぶ職場訪問のような形を取りました。

1日目新潟県内の金属加工の町・燕三条の工場をクラスごとに見学した後、川越を散策。「歴史」に触れることができました。
今日2日目のテーマは「未来」。訪問が決まってからいろいろ調べて見ると、つくば市には未来を見据えている人たちがいる興味深い場所だと知りました。ベンチャー企業の方や、自身で事業の立ち上げをした方に直に触れてほしいと思いましたし、JAXAなどの研究所もあります。そこで、できるだけ関心のある場所に生徒が行けるよう、クラスごとに訪問するということではなく、各自の興味を元にグループを作って訪問することになりました。

――それで、グループに分かれて見学することになったのですね。先生は、今回つくばでは生徒さんにどんなことを感じてほしいと考えていらっしゃいますか。

栗原先生:生徒たちが少しでも興味の持てる場所を訪れて、何かのきっかけになればいいなと思っています。今回訪ねるのは、内野にはない仕事がほとんどです。やってみたい仕事がないから、内野や新潟から出ていくというのではなく、「だったら自分でやりたい事業を立ち上げてみよう」などといった気持ちになれるような、刺激を受けてくれたら嬉しいです。


お話していると、担当の生徒さんたちにより良い学びの機会を得てほしいという栗原先生の想いがひしひしと伝わってきます。
今回のご縁は、修学旅行の行き先につくばを加える事になった際、つくば市の学校で行っている総合的な学習について調べる中で、アーストラベル水戸を見つけてお問合せをいただいたのがきっかけでした。弊社には、茨城県内での教育旅行に注力しているからこその繋がりがあります。今回は私たちがこれまでにいただいた繋がりを活かし、内野中学校の皆さんのつくば市内での学びをお手伝いさせていただくこととなりました。

今回、我々が担当させていただいたのは、代表・尾崎からの話と、午後からの見学・講話の一部の企画です。


弊社代表・尾崎によるランチタイム講話

午前中から、つくば市内でグループごとに各地を見学していた内野中学校2年生の皆さん。
お昼はホテルグランド東雲に立ち寄って昼食と休憩をとることになっていたのですが、訪問先によって到着も出発の時間も異なるスケジュール。せっかくならこの時間も有意義にすごしていただきたい想いで、時間を区切って2つのテーマでお話させていただきました。

前半は、茨城専門の旅行会社を目指すアーストラベル水戸の業務や想いの紹介と、内野中学校の皆さんのこれからに役立てていただければとメッセージを送らせていただきました。

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使用したスライドの一部

ガラリと内容を変えて後半は、宇宙に関するお話をお届け。内容は、現在地球にぶつかりそうな小惑星が2000個以上と言われる中、それを防ぐために進められている取り組み「プラネタリー・ディフェンス」や、小型衛星を活用した宇宙空間での光通信サービスの実現を目指すつくば発のベンチャー企業・株式会社ワープスペースのご紹介など。
宇宙に関心のある生徒さんもいらっしゃるとのことだったので、少しでも持ち帰っていただける内容になっていたら嬉しいです。

ゲノム編集でおいしく健康になれるハイギャバトマトを開発!
サナテックシード講話


1つのグループは、サナテックシード株式会社の住吉美奈子さんに、バイオテクノロジーや、ゲノム編集で開発したGABAを通常の4-5倍ふくむトマト「シシリアンルージュ」について教えていただきました。

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サナテックシードは、筑波大学発ベンチャーの種苗会社。バイオテクノロジーを利用して農作物を改良し、人々の食の安全を守りつつより健康にすることを目指して、研究者によって立ち上げられた会社です。

味がよい、病気に強い、形が良いなどの農作物をつくるため、人々は長い時間をかけて品種改良を行ってきました。
より良いものを交雑させてほしい品種をつくる交雑育種。
遺伝子が突然変異した際にほしい種が偶然生まれることを期待する突然変異育種。
いずれもほしい品種が作れるまでに数年間はかかりますし、数万株を栽培して実験する必要があります。おいしい作物を作るって、手間も時間もかかる大変なことなのですね。

そんな中、より短時間で、効率的にほしい品種を開発できるのがゲノム編集。ピンポイントでねらった遺伝子に突然変異をおこすことが可能だそう。
とはいえ、ゲノム編集で作った作物を社会で販売するためにはさまざまなハードルがあります。特許をとること、作物開発のための情報、安全に関する規制をクリアすること、そして消費者に受け入れてもらうこと。「新しい技術は、受け入れられるのに時間がかかります」というお話もありましたが、せっかくの技術を用いてつくられた健康によい食品です。社員のみなさんの想いが伝わって、このトマトが広く流通するといいなと思いました。

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今回、トマトはプランターで持ってきていただきました

図を用いるなどしてお話していただきましたが、理科の授業で遺伝についても未修の中学2年生にとっては、理解がむずかしい内容だったかもしれません。それでも熱心にメモを取りながら耳を傾ける様子に心を打たれました。今回は難しかったのですが、チャンスがあれば研究室や実際に栽培しているトマトを見てほしいところです。

つくばの魅力と、地域の資源を活かしたまちづくり|つくばまちなかデザイン講話

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別のグループは、つくばまちなかデザイン株式会社の取締役・小林遼平さんにお話を伺いました。今回、こちらのグループと、上記のサナテックシ―ドさんに講話をいただいた会場であるco-enの運営も、つくばまちなかデザインの事業の1つです。小林さんには、つくば市と、つくばまちなかデザインの紹介をいただき、まちづくりについて教えていただきました。

つくば市の特徴として、
・元々は山林だった場所を、国が整備してつくった街であること
・国・民間いずれの研究機関も数多く立地している研究学園都市であること
・ロボットが街中を走っているなど、最先端の技術を体験できること

などをご紹介いただきました。

つくば駅のまわりを中心に、つくば市は広く整備された道路が通っており、自然も多い街並みです。電柱や電線がないのもすっきりとした街の景観づくりの一翼を担っています。

コロナの影響もあり、街の定義・価値は「ものを買う場所」か「そこでしかできない体験をする場所」に変わってきていると小林さんは話します。例えばco-enは企業や活動する人々、多様な働き方を応援する拠点として、自分のカフェを持ちたい人がシェアキッチンを使って販売をしてみたり、24時間使えるコワーキングスペースで仕事ができたり、さまざまな企画に使えるイベントスペースがあったりと、様々なチャレンジをする機会を提供しています。

その地域ならではの魅力を、内外の人に知らせ、いろいろな人と一緒に街でできる取り組みをつくっていくことで、魅力がある街は生まれるとのこと。せっかくつくばにしかないものを、内野中の皆さんが住んでいる新潟にもっていっても魅力は半減してしまいます。逆に、新潟にしかないものを活かすことで新潟の魅力は高まります。地域の資源を活かし、職場・学校と家との往復の間に立ち寄れる場を街につくれば、新たな物事が生まれるとのことでした。

内野中の皆さんは、3年生の総合的な学習では地域の将来について探究学習を行う予定とのこと。今回の小林さんのお話は、活かせるヒントがあったのではないでしょうか。