REPORT アーストラベル水戸の旅

【教育現場インタビュー】阿見中学校・渡邉校長が語る「3つのSHINKA」と体験学習の価値

先生インタビュー

2027年から町から市になる、今注目の市町村!
阿見町立阿見中学校の渡邉健司校長にお話を伺いました。


明確なキーワードで学校全体を導く

尾崎: 渡邉校長が掲げている「明るく前向きな校風」を実現するために、普段心がけていることや、リーダーシップについて教えてください。
渡邉校長: 本校のキーワードはSHINKA。このSHINKAには3つの意味があります。
一つは「前に進んで変わる進化」、それから「深く変わる深化」、そして「真の価値(真価)」という三つのSHINKAです。令和7年度のスローガンは「SHINKAし続ける阿見中PRIDE」を掲げています。
4月1日に先生方や子どもたちに、今年はこういうSHINKAを目指していくよということを伝えています。夏休み前の全校集会では、学年ごとに振り返りをしました。
1年生には「進んで変わる進化」として、中学校生活という新しい生活に積極的に取り組んで進化することができた。2年生は悩みや迷いについて深く考えて頑張った、3年生は修学旅行や総体などを通じて友達の真の価値も自分の真の価値も見つけられただろう、と話しました。
尾崎: 学年ごとに話されるんですね。素晴らしいです。
渡邉校長: キーワードがあるとブレないんですよね。繰り返し繰り返し、職員会議でも保護者会でも学校だよりでも伝えることで、自然と浸透していきます。


体験学習が育む「自立」の力

尾崎: 子どもたちが旅や体験学習から得ていくものについて、どのようにお考えですか?
渡邉校長: やっぱり一番は「自立」だと思うんですね。自分を律するということも含めた自立、自分で立っていくという部分が、体験学習で最も育つと感じています。
計画から実行まで自分で考えて行動する。一人前の大人として成長していく上で、自立を目指すために最も体験学習は得るものが大きいと思います。
本校の教育目標にもあるんですが、自己肯定感を高める、自己有用感を高めるということが重要なんです。普段の授業では目立たないような子が、体験学習では急にリーダーシップを発揮したり、ものづくりがとても上手だったり。
尾崎: 新しい一面が見えるんですね。
渡邉校長: そうです。「あの子だらしないと思ってたけど、すごくきっちりしてる」とか。お互いを深く理解して、自分は認められている、必要とされているという気持ちが出てくれば、自己肯定感・自己有用感が高まって、将来自立できる大人になっていく第一歩が踏めると思います。


シゴトリップとの出会い〜先生方の負担軽減と教育効果の両立

尾崎: 今回シゴトリップにお申し込みいただいたきっかけを教えてください。
渡邉校長: 水戸の方で、アーストラベルさんにお世話になっている校長先生方からの情報が一番大きいですね。「とてもいいよ」という話をいただいて。
実は10年前に私がここで教諭をしていた頃、職場体験学習を町内の商店や会社で行っていました。でも先生方の負担が本当に大きかったんです。事業所との交渉から始まって、子どもたちの企画、指導、お礼状まで…。
尾崎: 確かに大変ですね。
渡邉校長: 今は働き方改革で業務を精選して、先生方には授業力向上に力を注いでもらいたいと思っています。でも職場体験の価値は認めているので、どうしたものかというジレンマがありました。
そんな時にこういうお話を伺って、間に入って調整していただける業者があるんだということを知り、これはご相談する価値があるなと。先生方にも提案したところ、負担感の少なさを感じてもらえて、「これだったらできるかな」という思いで賛同していただけました。
また、生徒にとっても従来の町内での職場体験とは違い、多様な業種から選択できるという大きなメリットがあります。茨城にもこんなにたくさんの仕事があるんだということを子どもたちに知ってもらえれば、将来の進路選択において茨城も選択肢の一つになってくれるのではないかと期待しています。


リーダーシップとは「方向性を示すこと」

尾崎: 校長としてのリーダーシップについて、どのようにお考えですか?
渡邉校長: 私は「ああしろ、こうしろ」とグイグイ引っ張っていくというよりも、ある程度目指す方向性を示してやれば、先生方も優秀ですし、みんな頑張ってくれると思っています。
自分はこういう風にしたいと思うんだけど、どうだろう?ということで話を聞きながら進めています。そうすると先生方も「私はこう思います」と意見を出してくれて、みんなでだいたい同じ方向を向いたなというところで、「じゃあこれで行ってみよう」という感じで持っていけます。
尾崎: 今の時代に合ったリーダーシップですね。
渡邉校長: 昔はグイグイ引っ張っていく校長先生もいましたが、今は若い先生方の感覚にも寄り添いながら、話を聞きながらやっていくことが重要であると思います。
阿見中学校は去年60回目の卒業式が終わって、古い学校です。歴史と伝統は大事にしながらも、SHINKA、新しいことにチャレンジすることは忘れない。「温故知新」の気持ちで、古いものを大事にしながらも守りに入らないで、新しいことにチャレンジして、SHINKAしていこうと話しています。


印象に残る旅の体験〜白川郷での気づき

尾崎: 先生ご自身で印象に残っている旅はありますか?
渡邉校長: 去年、全国大会の応援を兼ねて、家内と金沢に泊まって白川郷に行ってきました。観光らしい観光を初めてしたということもあるかもしれませんが、すごくいいものを見たなと思いました。
世界遺産になるぐらい素晴らしい日本の原風景で、茅葺き屋根の吹き替えの映像なども見させていただいて、大変な思いをしながらこの状況をキープしているんだなと感じました。
尾崎: それは子どもたちにも体験させたいですね。
渡邉校長: そうなんです。ただ世界遺産を見るだけじゃなくて、例えば茅葺き屋根の吹き替え体験とかを体験学習でやったら子どもたちには最高だろうなと思いました。


口コミの力と継続的な関係性

尾崎: 今回が阿見中学校として初めての試みということですが。
渡邉校長: はい。おそらくこれが来年も再来年もその次の1年生もと続いていくことを望んでいます。今年やってみて、先生方もいろいろ欲も出てくると思うんです。「もっとこうしたい、ああしたい」という部分と、「でも負担は増やせない」というところでのやり取りになってくると思います。
どんな業種にしても、一番は口コミだと思うんです。いい噂も悪い噂も伝わってくる。だからその時その時、人との出会いを大切にしていかなきゃいけないなといつも思っています。
尾崎: ありがとうございます。我々も成果を出せるよう頑張ります。


【令和7年度スローガン】 「SHINKAし続ける阿見中PRIDE」
【3つのSHINKA】

  • 進化(Evolution) – 前に進んで変わる
  • 深化(Deepening) – 深く変わる
  • 真価(Worth) – 真の価値を見つける

阿見中学校の渡邉校長のお話から、明確なビジョンを持ちながらも柔軟性を保つリーダーシップと、体験学習の教育的価値について深く学ばせていただきました。アーストラベルは今後も教育現場のニーズに応える体験学習プログラム「シゴトリップ」を提供してまいります。

取材協力:阿見町立阿見中学校 渡邉健司校長
インタビュアー:株式会社アーストラベル水戸 代表 尾崎