REPORT アーストラベル水戸の旅

働く人に学ぶ会(キャリアFES)/ ひたちなか市立勝田第二中学校

教育旅行

「キャリア教育って仕事の話に寄りがちなんですが、もっと広く、生き方を伝える機会にしたいんです」
橋本さんから思いのこもった説明を受け、レポーターに加えて講師の1人としても参加させていただいたひたちなか市立勝田第二中学校でのキャリアFES

夏休みも中盤となった8月10日、学校では1年生の各クラスに1名ずつ入り、6名の講師が自身のキャリアについてお話しました。

すべての講話で共通していたのは、学生時代の経験が今の仕事や生き方に強く表れていることでした。

キャリアFESとは
「熱い大人に触れる」「普段関わることの少ない職業に触れる」「既存の価値観にとらわれない生き方・働き方を知る」「感じたこと・学んだことを言葉にする」ことにより、これからの時代を生きていく生徒たちが自分の歩む道を考えるプログラムです。

目次

  1. 1. 橋本理沙さん アーストラベル水戸社員+シンガーソングライター+ほこたブランド大使
  2. 2. 川島飛鳥さん 株式会社PR Table PR室+水戸宿泊交流場 地域ディレクター
  3. 3. 増田大和さん 一般社団法人まちのこ団 代表理事
  4. 4. 礒野 桃さん ひたちなか市市役所 企画調整課 統計係
  5. 5. 川嶋啓太さん 株式会社NEXT・カワシマ 取締役
  6. 6. 荒川ゆうこ インタビュアー・ライター
  7. 中学時代の経験、考え、辛かったこともすべて、その後のキャリアに繋がっていく

1. 橋本理沙さん アーストラベル水戸社員+シンガーソングライター+ほこたブランド大使

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今回、アーストラベル水戸からは橋本理沙さんが教壇へ。「『どういう風に生きたいか』を軸に、お仕事を手段としてやってきました」という言葉通り、自身の価値観の変化にともなって職業を変えてきたので、その変遷やきっかけを伝えました。

東京の広告代理店に新卒入社した橋本さんが、現在は地元である茨城のプロフェッショナルを目指す会社・アーストラベルでの業務を主としているのは、真面目な優等生だった学生時代があったからこそ。中学時代は大人に認められたい気持ちが強く、いい子のふりをしていたと自身を振り返ります。

そんな自分を変えようと始めた音楽活動で、地方の若者にも夢を持ってほしいと行動する大人と出会えたこと。

学生団体でメンバーの地元をめぐりながら、地元を誇れる良さと、茨城は好きだけれど伝えられるだけの知識がないと気が付いたこと。

それらが元になって、アーストラベルでの勤務に加えて個人でほこたブランド大使やシンガーソングライターとしても活動に加えて神奈川との2拠点生活もしているという橋本さんに、誰かに認められるために動いていた中学生の頃の面影はありません。

やりたい事を詰め合わせて今の生活をつくってきた過程とあわせて「自分で意思決定することでより豊かに生きられる」というメッセージが生徒の皆さんに届いたのではないでしょうか。

2. 川島飛鳥さん 株式会社PR Table PR室+水戸宿泊交流場 地域ディレクター

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「みんなの笑顔が連鎖する企画を考えるのが好き」という自己紹介から始めてくださったのは川島飛鳥さん。会社のミッション・ビジョンが自身が大切にしたいことと一致したという理由で入社した株式会社PR TableでPRの仕事を担当しながら、ゲストハウス・水戸宿泊交流場でも活動しています。

「楽しくて辛かったから、自分を知るきっかけになった」という中学時代に気付いたのは、人を楽しませるのが好きで、みんなで取り組むことが好き。そして、サポートする立場にやりがいを感じられること。

そんな川島さんは「会社は学校のクラスみたい」だと言います。人数もちょうど1クラス分くらいであるPR Tableで、みんなで成し遂げたいことに向かっていくのに、自分には何の特技が活かせるかを考えて動く。それは、学級対抗の体育祭や合唱祭で優勝を目指して進んでいくのと似ているとのこと。今はお金を稼ぐことより、やりたいことを強みにできることに価値を感じているという川島さんらしい考え方です。

働く人のストーリーを届けたい人に届きやすくするお手伝いをしたり、ゲストハウスで一緒に体験できるイベントを企画したりと、自分の気持ちや強みを大切に行動し続けてきたから中学生からやりたかったことが今少しずつ叶っていっているとのこと。彼女の話を聞いた学級の生徒さんたちはきっと、気持ちが明るくなったはずです。

3. 増田大和さん 一般社団法人まちのこ団 代表理事

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「子どもたちの原体験を豊かにする」をミッションに掲げ、学生団体としてスタートした活動を、クラウドファンディングにて資金調達した後に事業化したのは一般社団法人まちのこ団の増田大和さんです。(ニックネームは団長!)講話でテーマとなっていたのは、「まち」と「自信」。そこにはやはり、学生時代の経験が色濃く表れているようです。

転勤が多い家庭に生まれたため、小学校は3か所、中学校は2か所に通ったという増田さん。転校を続ける中で、幼い頃は幼稚園で一番活発とまで言われていたのが、1人で過ごすことが多い“ぼっち”の少年へと変化。しかし、そこに留まることはありませんでした。

カナダへ渡り、英語を身に付けるとともに、自身の意志をもって行動する人々に出会い、「自分は自分でいい」と気付きを得ます。帰国後は、様々な職業を渡り歩いた結果、「全ての子どもや若者が自信を持って生きる社会を実現する」という思いをもって現在の活動に注力しています。自分に自信があると答える人は、7%しかいなかったというデータがあると伝えながら、海外と比較してかなり低いこの結果を変えていきたい思いです。

家庭の事情で「まち」を転々とし、自分の居場所を見つけることが難しく「自信」をもちにくい環境を経験した増田さんだからこそ、現在の活動であそびを通じて子どもたちに第三の居場所をつくる活動に注力しているのだなと感じられるお話でした。

4. 礒野 桃さん ひたちなか市市役所 企画調整課 統計係

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希望がなかなか叶わない道を進んできて、現在市役所で勤務している理由を話してくださったのは礒野 桃さん。現在は、国勢調査をはじめとする統計調査を執り行う企画調整課統計係に所属しています。


中学入学当初はテニス部希望であったものの、スコートに抵抗がありソフトボール部へ。心理カウンセラーを希望したけれど、受験で手が届かずに教育の道へ。教育実習を経験して免許を取得するも、他の実習生の熱意や自身の障がいから断念。そんな中でも、諦めなかったのが市役所での仕事だったといいます。

見えにくさの症状が出る病気が中学時代に発覚し、現在は障害者手帳を所持。外出が必要な業務で1人での移動が難しいなどといった「業務上のできないこと」はあるけれど、障がい者枠で採用されているため、担当業務に対して配慮してもらえ、通院しながらもこれまでの生活を続けられることに感謝しているとのこと。礒野さんの存在もあって、公表する資料にグラフや表を入れて見やすくなったものもあるといいます。

「症状が進み、障害者手帳を持つことになったときは、指を指して『あなたは障がい者です』と言われた気がして悲しかった。今も悲しみを乗りこえられた訳ではない。けれど手帳を持っている立場を、活かしてして働きたい」と打ち明けてくださったときの、柔らかくお話する中にある生の思いは、生徒さんにしっかりと刺さった様子でした。

5. 川嶋啓太さん 株式会社NEXT・カワシマ 取締役

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旧社名・川島プロパンの時代から65年続く会社を3代目として引き継ぎ、地域で選ばれる100年企業を目指してガス会社をこえた取り組みを進めているのは川嶋啓太さんです。社名をNEXT・カワシマと変更したのにも、ガスにとらわれない事業も何でもできるようにしたい思いがあってとのこと。

講話では、川嶋さんの人生が大きな挑戦の連続であることが分かりました。その中で身に付けたことはたくさんあり、それぞれの挑戦での気付きを共有してくださったのですが、大きな挑戦を実現するために「仮説をたててやってみる」が川嶋さんの特徴だと感じます。

大切にしているのは、レッテルを張ってやってもないのに「できない」と決めてしまわないこと。その姿勢のおかげで知り合いのいない関西や海外留学で視野を広げ、近い将来実家の会社を継ぐことを決めながら異業種であるIT業界に進み、ハードワークの日々を送る経験もしてきました。

結果として、現在のように社員の方と地域を盛り上げるお祭りに参加したり、自社で豆まきや地引網を企画したりといった、型にはまらない仕事を生み出しているとのこと。また個人でも、ドライブインシアター等の企画・運営をしています。教室で見せてくださった動画から、規模の大きさやわくわくする感じが伝わりました。

学生時代に上手な人ばかりが集まる野球のクラブチームに飛び込んだところから、新しい環境に飛び込んで挑戦し続けている川嶋さんの「やってみる」のメッセージには、生徒さんたちも納得だったのではないでしょうか。

6. 荒川ゆうこ インタビュアー・ライター

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教員からキャリアをスタートし、ITエンジニア・デザイナーを経て現在フリーランスでインタビュアー・ライターとして活動しているわたくし・荒川ゆうこも、自身のキャリアについてお話させていただきました。

事前にお送りしたプロフィールシートに「好きも嫌いもいっぱいある中学生だった気がします」と記入した通りで、とにかくその時の「好き」を優先しているうちに現在のような経歴に。母に勧められるまま医療系の道を志していた頃のわたしが1mmも想像していなかった日々を送っています。

結局好きなものが好きすぎた中学時代から変わらないまま、好きな人たちのファンづくりのお手伝いをしたい気持ちで仕事をしていることをお話しました。「好き」を優先すると同時に心地よく続けられないことをへらしたり取りのぞいたりしているうちに、毎日が楽しくて新鮮で、価値があると思えるようになったことが、生徒の皆さんに少しでも届いていれば幸いです。

インタビューはその場を共有する相手の方と、質問と対話で深めていくのが仕事の面白さだと感じているため、少しだけでも体験してもらおうと、わたしからの説明は短めにし、生徒さんからの質問を主に進行する形を選択しました。初対面の相手に質問をするのは難しいことなのですが、さまざまな角度からたくさんの質問をしてくださる主体的な姿勢のおかげで生徒の皆さんと素敵な時間を一緒に過ごすことができました。

中学時代の経験、考え、辛かったこともすべて、その後のキャリアに繋がっていく

1クラスに1人の講師が講話を行う形で進めた今回のキャリアの講話。

内容はそれぞれ個性的でばらばらのものでしたが、どのお話も中学時代の経験や思いが現在の職業や生き方に繋がっていることを改めて実感するばかり。よい思い出はもちろん、当時はネガティブに感じていたことや失敗、後悔も、すべて大人になったときに活かされるものなんだと再発見しながらレポートを書き進めてきました。

そういう観点からも、中学生には今しかできないことにたくさんチャレンジしてほしいと願わずにはいられません。
勝田二中の皆さんには、今回のキャリアFESで講話を担当した6名の大人から職業をこえた生き方の部分までお届けできていたらうれしいです。

今年スタートしたプログラム・キャリアFESでは、「熱い大人に触れる」「普段関わることの少ない職業に触れる」「既存の価値観にとらわれない生き方・働き方を知る」の3つを軸に、全3回の授業を行います。
職場体験に代わるキャリアを考える授業としてお手伝いさせていただきますので、お気軽にご相談ください!