水戸市内中学校 /自然体験宿泊学習
水戸市の中学2年生(第二学年)は、昨年まで「船中泊での北海道宿泊学習」を行ってきましたが、今年度から「2泊3日の自然体験学習」へとプログラムを刷新しました。
今回ご依頼いただいた学校が最も重視した教育的狙いは、「小さな学校だからこそ、生徒自身に『選択する』という体験をさせること」。ひとクラスほどの少人数だと、旅行の手配上どうしても全員一括の同じ体験になりがちですが、先生方は「人数が少ないからこそ、一人ひとりが自分の意思でプログラムを選び、責任を持って挑戦してほしい」という強いこだわりを持っていました。
「少人数でも、別々の選択制プログラムを受け入れてくれる体制を創る」。この課題に応え、アーストラベル水戸が福島・裏磐梯から会津若松、那須を巡る2泊3日の体験ストーリーを構築しました。最初は戸惑いがちだった生徒たちが、少しずつ自ら動き出し、それぞれの新しい一面を見せていく2泊3日の様子をレポートします。
【実施概要】
・学校名:水戸市内公立中学校
・対象学年・人数:中学2年生(第二学年)・少人数(1クラス相当)
・実施日:2026年6月
・行き先:福島県(裏磐梯・会津若松)、栃木県(那須)
・旅行形態:完全オーダーメイドの選択制宿泊プラン
【1日目・午後】裏磐梯の豊かな自然が舞台!「自分で選んだ」アクティビティで見せる主体性と新しい一面
6月の爽やかな朝、水戸の学校を出発した一行はバスで福島の裏磐梯エリアへと向かいました。現地でお昼ご飯を済ませた後、いよいよ今回の旅の核である「選択制の自然体験プログラム」がスタートします。
生徒たちは、水辺のダイナミックな体験ができる「カヤック」、自然と対峙する「釣り」、生きる知恵を学ぶ「火起こし」など、事前に自分が「やってみたい」と意思表示したアクティビティに分かれて挑戦しました。ここでの子どもたちのリアクションの変化は、見守る大人たちを驚かせるものばかりでした。

カヤックを選んだ生徒たちは、最初は「怖い!」「本当に乗れるのかな……」と不安げな声を漏らしていましたが、いざパドルを持って湖に出るとすぐにコツを掴み、あっという間に全員で遥か沖の方まで進んでしまうほど夢中に。「戻ってくるのが大変なほど遠くまで行っちゃいました」とスタッフが笑うほど、素晴らしい適応力を見せました。

また、釣りを選んだ生徒たちは、最初は生き餌のミミズを針につける作業に「ギャーギャー」と言いながら本気で嫌がっていました。しかし、一度でも自分の竿に魚がヒットし、釣り上げる快感を味わうと表情が一変。さっきまで触ることすら拒絶していたミミズを、自ら進んで素手で掴んで針に刺し、次の獲物を狙うたくましい姿へと変貌を遂げていました。
現場で起きた最大のドラマ:火起こし体験での発見
学校の先生方から事前に「普段はクラスの中でも少し控えめで、あまり自分から前へ出るタイプではない」と伺っていたある生徒が、火起こし体験を選びました。

彼はプログラムが始まった瞬間から驚くほどの集中力を発揮。「どうすれば火が長持ちするか」「どう組めば綺麗に燃えるか」を自ら必死に工夫し、どんどん火を大きくしていったのです。その生き生きとした様子に、引率の先生方も「学校では絶対に見られない一面だ!」と大感激。最終的にはキャンプ場のスタッフから「火起こし名人」という栄えある称号を授与され、本人の大きな自信へと繋がりました。
「自分で選んだからこそ、最後までやり遂げる」。大人たちが机の上で描いていた教育の狙いが、裏磐梯の大自然の中で見事に花開いた瞬間でした。
【1日目・夜】ペンションオーナーとのふれあいタイム。旅先で触れるプロフェッショナルの「職業講話」
めいっぱい体を動かした1日目の夕方、生徒たちはアットホームなペンションへとチェックインしました。大型ホテルに泊まる大人数の旅行とは違い、ペンションを貸し切るスタイルも少人数ならではの贅沢です。
美味しい夕食の後は、オーナーさんにご協力いただき、リビングでの「ふれあいタイム(職業講話)」の時間を設けました。
- 「なぜ、この福島・裏磐梯という場所を選んだのか」
- 「どんな想いを持って、このペンションという仕事を続けているのか」
教科書には載っていない、地域で実際に生きる大人のリアルな「働くことへの情熱」をアットホームな距離感で聞く時間は、生徒たちの心をじんわりと満たしていきました。ただの宿泊場所ではなく、そこにある「人の物語」と出会う。これもアーストラベル水戸が大切にしている「本物の出会い」のデザインです。
【2日目】鶴ヶ城のガイドツアーから繋ぐ、会津若松の街めぐり

2日目はペンションを出発し、歴史の街・会津若松での班別自主活動に挑みました。
まずは全員で名城・鶴ヶ城(若松城)を訪れ、専門のガイドツアーに参加しました。歴史の舞台となった現地で、プロの解説を聞きながら「なぜここでこの歴史が動いたのか」という共通のベース知識を頭にインストールします。
「さっきお城で聞いた歴史の舞台はここか!」「この通りにはこういう意味があったんだ」と、街全体を歴史の因果関係で捉えながら理解を深めていきました。
【3日目】「本物の仕事」に学ぶ。那須どうぶつ王国での本格的な飼育員体験プログラム
最終日の3日目は、栃木県へと移動し那須どうぶつ王国を訪問しました。ここでのメインプログラムは、単に動物を見て楽しむ観光ではなく、バックヤードに深く潜り込む本格的な「飼育員体験」です。

生徒たちが挑戦したのは、大きな「馬の餌作り」。ただ餌をあげるだけでなく、馬が食べやすい大きさを考えながら丁寧に野菜を包丁でカットし、栄養バランスを考慮して正確に重さを測るという、本物の飼育員の業務をそのまま体験しました。

この体験の前に、現役の飼育員さんによる30分間の特別講話が行われました。講話では、動物の骨格や歯の標本が実物として目の前に登場。
- 「なぜ、動物によって餌の切り方や種類を変えなければいけないのか」
- 「肉食動物の鋭い歯と、草食動物の草をすり潰すための平らな歯の構造の違い」
といった生物のリアルな生態を標本を通じて学んだ上で、さらに「生き物の命を預かる飼育員としての仕事のやりがいや苦労」についての熱いお話を伺いました。
本物の仕事の裏側と命の責任を知った上で臨んだからこそ、その後の動物たちとの触れ合いや餌やりの時間において、生徒たちの眼差しは真剣そのもの。「可愛い」の先にある「命と関わる仕事の重み」を五感で学ぶ、素晴らしい締めくくりとなりました。
すべての行程を終えた生徒たちは、たくさんの体験とお土産を胸に、夕方、思い出の詰まった水戸の学校へと無事帰着しました。
編集後記|担当スタッフより

今回の宿泊学習を現地でサポートしたアーストラベル水戸の担当・磯崎は、3日間をこう振り返ります。
船中泊からの切り替えという初めての大役をいただき、学校側の「少人数でも生徒に選択の機会を」という熱い想いにどう応えるか、徹底的にこだわってプランを作りました。結果として、本当にやって良かったと心から感じています。
最初は「乗れない」「触れない」と言っていた子どもたちが、自分で選んだプログラムに没頭し、どんどん具体的になって目の前の課題をクリアしていく姿を間近で見ることができました。何より、学校では控えめだった子が火起こしで才能を発揮し、先生方が「あんな一面があったなんて……!」と目を見張って驚かれていた瞬間は、この旅が子どもたちの隠れた可能性を引っ張り出すきっかけになれたのだと、担当としてこの上ない喜びを感じました。3日間、全員が心から主体的に楽しんでくれたことが最高の成果です。
おわりに
水戸市の公立学校様がアーストラベル水戸と共に踏み出した、新しい教育旅行への第一歩。
「生徒数が少ないから一括のパッケージツアーでいい」とするのではなく、少人数だからこそ、一人ひとりの個性と選択に徹底的に寄り添う。これこそが、次世代の探究学習や教育旅行に求められる本当の価値ではないでしょうか。
アーストラベル水戸は、学校の先生方が抱く「子どもたちにこう育ってほしい」という教育の狙いを深く共有し、現場の生産者や施設と強固に繋がりながら、子どもたちの行動と意識を変える「本物の体験」をデザインします。

