東洋英和女学院小学部/田植え宿泊学習
実施概要
- 学校名:東洋英和女学院小学部
- 対象学年・人数:5年生 2クラス
- 実施日:2026年5月上旬
- 行き先:茨城県(大洗町・茨城町・水戸市 ほか)
- 年間プログラム:
- 4年生(2月)|「農業の入り口体験」
- 5年生 1回目(5月)|「手植えでの田植え体験」 ➔ ★本記事
- 5年生 2回目(9月)|「稲刈り体験」
【1日目・午前】大洗漁港で命の現場を体感!ブランドしらすの水揚げ見学
5月上旬、東京駅から常磐線の特急に乗り込んだ児童の皆さん。水戸駅へ到着後、さっそく専用バスに乗り換えて、最初の目的地である大洗漁業協同組合へと向かいました。
大洗では今、首都圏に向けて「常陸乃国しらす(ひたちのくにしらす)」というブランドしらすを精力的に売り出しています。児童の皆さんが目にしたのは、まさにそのしらすが次々と水揚げされていく、熱気あふれる本物の現場です。

普段の生活では綺麗にパック詰めされた魚しか見る機会のない子どもたちにとって、生きた魚が目の前で水揚げされていく光景は圧倒的なリアクションを引き出しました。「わあ、すごい動いてる!」「こうやってお店に届くんだ!」と、目の前の「命の現場」に目を輝かせ、真剣に見入っている姿が印象的でした。

見学のあとには、贅沢にも釜揚げしらすの試食を体験。自分たちの目で水揚げを見たばかりのしらすの味は格別だったようで、みんな「美味しい!」と大満足の表情。地域の産業と自分たちの食がどうつながっているのかを、五感で学ぶ最高のスタートとなりました。

【1日目・午後】涸沼自然公園でのいきもの観察
続いて向かったのは、関東唯一の汽水湖として知られる涸沼のほとりにある涸沼自然公園です。広場で昼食をとったあとは、茨城県環境管理協会の講師の方々をお招きし、公園内を流れる小川での「いきもの観察プログラム」に挑戦しました。

「都会の子たちだから、川や泥に足を入れるのは少し躊躇するかな?」という大人の心配はどこ吹く風。子どもたちは網を手に、ためらうことなくザブザブと川の中へ入っていきます。
当日見つかった生き物たち


メダカ、小さなエビ、ドジョウなど、何十種類もの豊かな生態系を自分たちの網で発見することができました。中には滅多に出会えない珍しい生き物も。
「先生、捕れたよ!」とあちこちから大歓声が上がります。図鑑の中でしか見たことがなかった生き物たちが、自分の網の中でピチピチと動いている――そのリアルな手応えに、みんな大興奮の様子でした。

また、川のすぐ近くでは、地域に定住している外来種のコブハクチョウの親子にも遭遇。ちょうど生まれたばかりの可愛いひなを連れて泳ぐお父さん・お母さん白鳥の姿を間近でじっくりと観察する、貴重な野鳥観察の時間にもなりました。少し泥だらけになりながらも、自然と一体になって夢中で生き物を探す子どもたちの姿は、とてもたくましく、生き生きとしていました。
【1日目・夜】次の日の田植えに向けて。JA茨城の萩谷さんから学ぶお米の「今」
めいっぱい自然と触れ合ったあとは、今回の宿舎であるJAグループ茨城教育センターへ。美味しい夕食を済ませた夜の時間帯には、明日のメインイベントである「田植え」に向けた事前学習を行いました。

JA茨城中央会の萩谷茂さんを講師にお迎えし、日本の農業とお米に関する講話をしていただきます。お話の内容は、単なるお米の作り方だけにとどまりません。
- 最近、お米の値段が高くなっているニュースの背景
- 日本の米食文化の歴史と変化
- 田んぼが減ってしまうと、私たちの環境や防災にどんな影響が出るのか
など、いま日本が直面している農業のリアルな現状と課題について、分かりやすく教えていただきました。
ここでも児童の皆さんの「探究心」が大爆発。お話が終わるやいなや、次々と手が上がり、質問タイムが足りなくなるほどの熱気に包まれました。現状をただ知識として受け入れるだけでなく、「なぜだろう?」「どうすればいいんだろう?」と自ら問いを立てて学ぼうとする姿勢に、学校での日頃の質の高い学びの様子が垣間見えました。
【2日目・午前】「冷たい!」から「楽しい!」へ。裸足で挑む泥んこ田植え
2日目の朝、朝食を済ませた児童の皆さんは、田んぼへと向かいました。ここは、今回のプログラムのためにJA水戸さんが特別に管理・貸し出してくださっている大切な田んぼです。
田んぼに到着すると、みんな一斉に靴と靴下を脱ぎ、裸足になります。いざ、ずぶずぶと泥の中に足を踏み入れると――。
「うわあ、冷たい!」「なんか不思議な感触!」

最初は初めて触れる泥のひんやりとした感覚や、足が沈み込む独特の感触に、少しひるんでしまう児童も。しかし、それも最初の数分だけ。一度泥の感覚に慣れてしまえば、もうお手の物です。



JA水戸の竹林さんに教わった通りに、一株一株、丁寧に田んぼへ苗を植え付けていきます。泥だらけになることを全く気にせず、目の前の等間隔のラインに合わせて、驚くほど綺麗に手植えを進めていく児童の皆さん。そのたくましさと集中力には、見守る大人たちからも感嘆の声が漏れるほどでした。


都会では決して味わえない、大地に直接触れる感覚。昨日座学で学んだ「お米」の命が、こうして自分たちの手から始まっていくのだという実感を得られる、貴重な時間となりました。
【2日目・午後】頑張ったあとの極上ご褒美!茨城が誇るメロンの講話と試食

田んぼで一生懸命に汗を流し、しっかりと足を洗い、着替えた後は、教育センターに戻って昼食タイム。旅の締めくくりは、最高のご褒美プログラムが待っていました。
茨城県といえば、実はメロンの生産量が日本一。ちょうど5月は、春メロンの王様である「アンデスメロン」が一番美味しい旬の季節です。なんと今回は、贅沢にも1人「ハーフカット(半分丸ごと)」という、子どもたちにとって夢のようなスタイルで提供されました。
スプーンですくって贅沢に一口食べるたびに、「甘い!」「ジューシー!」と部屋中に笑顔が広がります。


食べる前には再びJAの方からメロンについてのお話をいただきました。茨城のメロンがなぜこんなに美味しいのかという秘密や、普段は見られない「選果場(メロンをサイズや品質ごとに選別する工場)」の迫力ある動画を見せていただきます。
「美味しいメロンの見分け方はありますか?」「どうして茨城でメロンがたくさん作られるようになったんですか?」など、メロンに限らず茨城の農業全般に広がる質の高い質疑応答が行われ、実際の作物を味わいながら地域の産業への理解をさらに深める、素晴らしい交流会となりました。すべてのプログラムを終えた児童の皆さんは、特急で水戸駅から東京へと帰路につきました。
編集後記|担当スタッフより
担当:橋本
児童の皆さんは、とにかく素直で初めて見る本物の現場に対する受け取り方がまっすぐで、その場で気になったことを次々と質問してくれます。
実は、子どもたちのピュアな視点から質問されることで、案内する地元の農家さんや漁協の方々、そして私たち水戸の人間も「あ、茨城のここが面白いんだ!」と、改めて地域の良さを再発見させられることが多々あります。
また、川に入っていきものを探すプログラムでも、先生方が児童の皆さんと一緒になって全力で川に入り、楽しそうに生き物を捕まえていらっしゃいました。先生方が誰よりも全力で楽しむ姿勢を見せているからこそ、学年全体が素晴らしい一体感を持って学べるのだと、深く感銘を受けました。
おわりに
この宿泊学習で意識しているのは、有名観光地を巡る「観光」ではなく、地域で生きる「本物の人と出会う」ことです。地元のお父さん、お母さんが語る「本物の言葉」に、児童たちはリスペクトを抱き、一生懸命に耳を傾けていました。
植えた苗が黄金色に輝く秋、5年生の皆さんは再び「稲刈り」のために茨城を訪れます。またお会いできることを、楽しみにしています!

